介護福祉

【訪問介護】訪問介護事業の開業に必要な資本金はいくら?

はじめに

訪問介護事業に限らず、一部例外もありますが、介護事業を運営するためには基本的に法人を設立して運営をする必要があります。

法人を設立する際は、必ず資本金が必要となります。

資本金がいくら必要かということですが、順を追って考えたいと思います。

資本金はいくら必要か

まず、開業するためにいくら資金が必要か・そこから逆算していくらご自身で用意できるか(=資本金)・いくら借りるべきか ということを考えたいと思います。

開業資金がいくら必要かということですが、ここで大事なのは、訪問介護事業を開業するにあたり「初期投資」と「今後の運転資金」をどのように考えているかです。

これから簡単な例え話をしますが、お話に入る前に次の4つのことを知った上で、自分がどのタイプかを考えてみるべきです。

  • 知識1:資本金というのは、その会社の自己体力のようなもの

(大きければ当然信用力は増します)

  • 知識2:資本金に設定すると、それは会社のお金になってしまう

(代表のお金を貸すこともできる)

  • 知識3:「初期投資」に必要なお金として代表的なのは
  • 法人設立登記費用約30万
  • 事務所契約金約20万
  • 指定改装工事約30万
  • パソコン等の設備費用約50万

合計130万といったところです。

  • 知識4:「運転資金」に必要なお金として代表的なのは、訪問介護の売上に対して
  • 人件費70%
  • 諸経費25%

合計95%は今後発生するといったところです。

(あえて%表示しております)

①「初期投資」+「運転資金」=「資本金」というイメージをお持ちのタイプの方

「初期投資」は知識3より、無難に130万を準備

「運転資金」ですが、訪問介護の法人を設立されてから何か月後にいくらの収入が計上されると計画されておりますか?

例えば、訪問介護の法人を設立されてから4か月後に100万円の収入が計上される計画で試算してみたいと思います。

知識4で「運転資金」は売上の95%発生するとお伝えしました。となると、100万円×95%×4か月=380万円

つまり、このタイプの方への回答としましては、130万+380万≒500万円をはじめの資本金としてご準備されるのが良いと考えます。

②「初期投資」=「資本金」というイメージをお持ちのタイプの方

このタイプの方への回答としましては、知識3のみの100~150万円ほどの資本金が必要でしょう。

ただし、ここでの問題は、訪問介護の売上が上がるまでの「運転資金」をどうされるかです。

このタイプの方は、おそらく借入金で賄おうと思っているのではないでしょうか。

そこでさらに細分化したいと思います。

②-1:創業融資を実施して、「運転資金」を賄おうと考えているタイプの方

創業融資を受けるなら、一般的には資本金のおよそ3倍が限度と考えておいた方が無難です。(例外はございます)

このケースだと、100~150万円×3倍=300~450万円の融資が妥当ということになります。

①の例でいくと、「運転資金」は380万円でしたので、賄うことはできました。

しかし、その後のお金はありますでしょうか?(MAX450万-380万円)100万円の収入が計上されたとしても、残るお金は5%(100%-95%)です。

むしろ借金MAX450万円が丸々残っただけなので、借金地獄になり兼ねません。さらに追加融資でしょうか?それは無理でしょう。

なぜかというと、知識1の信用力という問題が発生するからです。

よって、回答を補足させていただくと、100~150万円ほどの資本金でいけますが、その後は身を削る思いで事業活動をすることになるでしょう。

②-2:資本金とは別に、代表が会社にお金を貸して、「運転資金」を賄おうと考えているタイプの方

資本金に設定したお金(知識2:代表のお金ではなくなるので、返ってこない)とは別に、会社にお金を貸す(知識2:貸したので返ってくる)ことを検討されるのも一つの方法です。

しかし、この方法は、当然のこと代表がお金を持っている場合のみです。

少々回答の仕方が変わりますが、この方法をお考えの方には、自分の持ち金×1/2を資本金、自分の持ち金×1/2を借入金くらいの割合で資本金の設定をされた方が前向きかと考えます。

その理由は、会社にとっては例え代表から借りたお金でも、結局は返さないといけない借金に違いないからです。

借金のある会社に、金融機関様はすぐに貸してくれるでしょうか。んーー疑問です。

ならば、少しでも資本金を上げて(知識1の信用力を上げて)、少しでも借金を減らして(知識2の返ってくる)おくことの方がオススメかと思います。

①の例を使って、回答を補足させていただくと、「初期投資」+「運転資金」≒500万円でしたので、250万(×1/2)の資本金、250万円(×1/2)の代表借入金が必要になるのではないでしょうか。

皆さまなら、どんな計画を立てられますか??

皆さまの計画は、千差万別です。冒頭で「いくらでも構いません」といったのは、そこに幾通りの手段が存在し、幾通りの計画が存在するからです。

このように、計画一つで訪問介護の開業までの準備金(資本金であれ借入金であれ)が変化しますので、ご自身に見合った計画(バランス)を立てることが重要であることをお知りおきください。

もし、計画を立てたくても立てられない、不安になる、話をしたい、など出てきましたら、もっと具体的な話をさせていただきます。

是非とも弊所までご来所、もしくはお気軽にお電話ください!

さいごに

 クロスト税理士法人では、介護福祉事業の開業に関して、初期相談から、事業計画作成、融資サポート、法人設立、指定申請代行、各役所への届け出の提出とまとめてご相談可能となっております。また、初回無料相談可能となっておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

このコラムを監修した税理士

田代 健太郎

クロスト税理士法人 代表社員

近畿税理士会所属、登録番号126849号
税理士法人3社での勤務を経て、2015年に「田代健太郎税理士事務所」を設立。その後2018年に法人化し「クロスト税理士法人」に。
財務・税務調査の専門家として、決算申告業務、経営支援業務、独立・開業支援業務、医業福祉業の経営支援業務などの業務を提供。
法人に対する支援業務にとどまらず、生命保険・金融資産の検討・見直し、不動産運用に関するコンサルティング、
また相続申告、相続対策など、個人に対しても幅広い各種サービスを提供している。

書籍:「税務調査の良い受け方・正しい対応方法」、「会社経営者であれば知っておきたい節税のイロハ」、「創業計画書つくり方・活かし方」、ゼッタイ得する会社のつくり方はじめ方」、「相続の税金と対策」、「歯科医院経営の成功手法がわかる本」他。

クロスト税理士法人 https://crosst-tax.jp/

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