介護福祉

【訪問看護】理学療法士等の訪問回数による減算と関連する加算[令和6年度介護報酬改定]

はじめに

訪問看護においては令和6年6月から、令和6年度の介護報酬改定が適用されます。

今回は訪問看護の報酬改定のうち、「理学療法士等による訪問看護の評価の見直し」というものと、それに関連する加算について解説します。

理学療法士等の訪問回数による減算

令和6年度介護報酬改定の改定案として、理学療法士等による訪問看護の評価の見直しが示されました。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の訪問回数が看護職員の訪問回数を超えている場合、理学療法士等の訪問1回につき8単位を減算するというものです。

なお、理学療法士等の訪問回数が、看護職員の訪問回数を超えていなかったとしても、「緊急時訪問看護加算」、「特別管理加算」、「看護体制強化加算」のいずれも算定していない場合は、減算の対象になるようです。

(厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」より)

理学療法士等による訪問回数はどのように数えるのか

通常、理学療法士等の訪問回数は、20分を1回とするため、一度に40分の訪問を実施した場合でも2回とされます。そのため、前述の理学療法士等の訪問回数による減算を算定する際にどのように数えるのか不透明だったわけですが、令和6年3月15日、厚生労働省より「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」にて、明記されました。

(厚生労働省「令和6年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)」より)

上の回答によると、一度の訪問を「1回」と数え、訪問回数を比較するようです。

緊急時訪問看護加算

緊急時訪問介護加算とは、利用者やその家族等からの要請に基づき、介護支援専門員と連携し、計画的に訪問することになっていない訪問介護を緊急に行った場合の加算です。

(※「緊急に行った場合」とは、居宅サービス計画に位置付けられていない訪問介護を、利用者又はその家族等から要請を受けてから24時間以内に行った場合をいいます。)

単位数は、1回につき100単位です。

特別管理加算

特別管理加算とは、特別な管理を必要とする利用者に対して訪問看護の実施に関する計画的な管理を行った場合、厚生労働省の定める区分に応じて加算されるものです。

区分に応じて、特別管理加算(I)と特別管理加算(II)があります。

1人の利用者に対して1か所の事業所に限り算定できるもので、(I)と(II)のどちらかのみの算定となります。

特別管理加算(I)

次にあげる状態にある利用者に対して訪問看護を行う場合の加算で、単位数は、1月につき500単位です。

在宅悪性腫瘍患者指導管理を受けている状態

在宅気管切開患者指導管理を受けている状態

気管カニューレを使用している状態

留置カテーテルを使用している状態

特別管理加算(II)

次にあげる状態にある利用者に対して訪問看護を行う場合の加算で、単位数は、1月につき250単位です。

在宅自己腹膜灌(かん)流指導管理、在宅血液透析指導管理、在宅酸素療法指導管理、在宅中心静脈栄養法指導管理、在宅成分栄養経管栄養法指導管理、在宅自己導尿指導管理、在宅持続陽圧呼吸療法指導管理、在宅自己疼(とう)痛管理指導管理又は在宅肺高血圧症患者指導管理を受けている状態

人工肛門又は人工膀胱を設置している状態

真皮を越える褥瘡(じよくそう)の状態

点滴注射を週3日以上行う必要があると認められる状態

看護体制強化加算

看護体制強化加算とは、医療ニーズの高い利用者への訪問看護の提供体制を強化した場合の加算です。

看護体制強化加算(I)と看護体制強化加算(II)があり、(I)と(II)のどちらかのみの算定となります。

訪問看護ステーションの場合、次にあげる①~④すべてを満たす場合が(I)、③を除く①、②、④を満たす場合が(II)の適用となります。

  • 過去6ヶ月で、緊急訪問看護加算を算定した利用者の割合が50%以上
  • 過去6ヶ月で、特別管理加算を算定した利用者の割合が20%以上
  • 過去12ヶ月で、ターミナルケア加算を算定した利用者が5名以上
  • 従業員の内、看護職員の割合が60%以上

単位数は、(I)の場合、1月につき550単位、(II)の場合、1月につき200単位となります。

さいごに

訪問看護ステーションの中には、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士による訪問と看護職員による訪問の両方を行っている事業所は数多くあると思います。

その場合、今後は訪問回数に留意する必要が出てきますし、そうでない場合でも、前述した加算を取得しているかが減算の要因になり得ます。

令和6年度の介護報酬改定では、訪問看護の基本報酬は上がっていますが、この新たな減算の影響により、全体でみると報酬が減少してしまう事業所は少なくないのではないでしょうか。

この記事を今後の経営を考えるうえで参考にして頂けましたら幸いです。

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このコラムを監修した税理士

田代 健太郎

クロスト税理士法人 代表社員

近畿税理士会所属、登録番号126849号
税理士法人3社での勤務を経て、2015年に「田代健太郎税理士事務所」を設立。その後2018年に法人化し「クロスト税理士法人」に。
財務・税務調査の専門家として、決算申告業務、経営支援業務、独立・開業支援業務、医業福祉業の経営支援業務などの業務を提供。
法人に対する支援業務にとどまらず、生命保険・金融資産の検討・見直し、不動産運用に関するコンサルティング、
また相続申告、相続対策など、個人に対しても幅広い各種サービスを提供している。

書籍:「税務調査の良い受け方・正しい対応方法」、「会社経営者であれば知っておきたい節税のイロハ」、「創業計画書つくり方・活かし方」、ゼッタイ得する会社のつくり方はじめ方」、「相続の税金と対策」、「歯科医院経営の成功手法がわかる本」他。

クロスト税理士法人 https://crosst-tax.jp/

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