税務会計
【介護事業経営】試算表の見方② 損益計算書
目次
試算表とは
介護事業を経営するにあたって、会社の数字を把握することは必須です。
会社の数字を理解するため、今回は「試算表」の見方を解説します。
「試算表」とは、期中の月末などに作成し、数字に間違いがないかチェックしたり、期中の時点での会社の財政状況を把握したりするためのものです。
試算表には、「貸借対照表」と「損益計算書」があり、それらの構造や見方を知ることで、会社の状態を読み取ることができ、決算書類のうち財務諸表を理解することができます。
この記事では、試算表のうち、「損益計算書」の構造を解説します。
損益計算書とは
損益計算書は、会社の収益を表したもので、会社の経営状況を把握する上で欠かせない、売上高や利益などを確認することができます。
損益計算書の構成要素
売上高
売上高は、商品の販売やサービスの提供によって得る収入の金額で、会社の営業活動によって得られるお金です。
売上原価
売上原価は、販売するための商品の仕入や材料費、製造にかかる費用などのことです。試算表を作成する際、その期間の最初に商品や材料の在庫が残っていた場合は、棚卸高として売上原価に加算します。それとは反対に、その期間の最後に商品や材料の在庫が残った場合は、棚卸高として売上原価から省きます。そうすることで、純粋にその期間の売上高のもととなった原価を求めることができます。
販売費及び一般管理費
販売費及び一般管理費は、会社の営業にかかる費用のうち、売上原価以外の経費です。役員報酬や社員の給与、家賃、広告宣伝費、交際費など様々な経費がこれに含まれます。
営業外収益
営業外収益は、会社の本業以外の継続的な活動によって得られる収入のことです。預金や貸付金に生じる利子である「受取利息」などがこれに含まれます。
営業外費用
営業外費用は、会社の本業以外の継続的な活動によって発生する費用のことです。借り入れたお金の利子を支払った場合の「支払利息」などがこれに含まれます。
特別利益
特別利益は、本業以外で臨時的に発生した収入のことです。不動産や車両などを売却した場合の利益である「固定資産売却益」や、長期間保有していた株式の売却時に生じた利益である株式の「売却益」などがこれに含まれます。
特別損失
特別損失は、本業以外で臨時的に発生した損失のことです。特別利益とは逆に、「固定資産売却損」や株式の「売却損」がこれに含まれます。
損益計算書で分かる利益
売上総利益
売上総利益は、商品やサービスの提供によって得る利益で、「粗利」とも呼ばれます。計算式は以下の通りです。
売上総利益 = 売上高 - 売上原価
売上高から売上原価を差し引いた金額が売上総利益です。
営業利益
営業利益は、会社の本業で生じた利益のことです。計算式は以下の通りです。
営業利益 = 売上総利益 - 販売費及び一般管理費
売上総利益から販売費及び一般管理費を差し引くことで営業利益を求めることができます。
経常利益
経常利益は本業以外で臨時的に発生するものを除いた、経常的に発生する利益です。計算式は以下の通りです。
経常利益 = 営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用
営業利益に営業外収益を加え、営業外費用を差し引いた金額が経常利益です。
税引前当期純利益
税引前当期純利益は、法人税などの税金を支払う前の全体の利益です。経常利益に、臨時的に発生する利益や損失を加味したものになります。計算式は以下の通りです。
税引前当期純利益 = 経常利益 + 特別利益 - 特別損失
経常利益に特別利益を加え、特別損失を差し引くことで、税引前当期純利益を求めることができます。
当期純利益
当期純利益は、決算で確定する法人税等を加味した利益で、会社の最終的な利益です。計算式は以下の通りです。
当期純利益 = 税引前当期純利益 - 法人税等
税引前当期純利益から法人税等を差し引いた金額が当期純利益です。
まとめ
今回は「損益計算書」について解説しました。損益計算書を読み解くことで、会社の収支を確認することができ、経営状態を正しく把握することができます。ぜひ、損益計算書を分析する際の参考にしてください。