税務会計
【介護事業全般】会社の設立と形態
目次
法人の形態
一般的には、株式会社、合同会社、一般社団法人、一般財団法人、NPO法人の5つの形態から選択して法人を設立することになります。
この他にも、医療法人、社会福祉法人、有限会社などがありますが、
・ 医療法人は、医師免許をもった人しか設立できません
・ 社会福祉法人は、介護事業の経営の実績が必要になります。また、実質的には、公益性の高い社会福祉事業を安定的に行えることを前提に、行政から声をかけられた人のみが設立させてもらえるというのが実情です。
・有限会社は新会社法が施行された2006年以降、新たに設立はできなくなりました。
といった制限があります。よって、先述した5つのうちから選ぶことになります。
それぞれの法人の特徴
5つの法人の形態を比較して、以下の表にまとめてみました。
株式会社 | 合同会社 | 一般社団法人 | 一般財団法人 | NPO法人 | |
設立手続 | 設立登記のみ | 設立登記のみ | 設立登記のみ | 設立登記のみ | 所轄庁の認証後、設立登記 |
設立時に必要な資産 | 1円以上 | 1円以上 | 不要 | 300万円以上 | 不要 |
設立時に必要な人員 | 1人以上 | 1人以上 | 2人以上 | 7人以上 | 10人以上 |
理事の数 | 該当なし | 該当なし | 1人以上非営利型は3人以上) | 3人以上 | 3人以上 |
所轄庁 | なし | なし | なし | なし | 都道府県又は指定都市 |
合同会社のメリット・デメリット
当事務所でご支援したお客様が最も多く選択されているのは、合同会社です。
株式会社と合同会社とは、株主総会などの機関、利益分配等に違いはありますが、契約や税制面などでは、特に違いはありません。
合同会社のメリットは、設立費用が安いことです。
<参考>株式会社と合同会社の設立時にかかる費用
株式会社 | 合同会社 | |
定款にかかる費用 | 公証人認証費用 5万円 | 公証人認証費用 不要 |
印紙代4万円(電子認証定款の場合 不要) | 印紙代4万円(電子認証定款の場合 不要) | |
登録免許税 | 15万円 | 6万円 |
合計 | 24万円(電子認証の場合20万円) | 10万円(電子認証の場合6万円) |
一方、デメリットとして、合同会社は知名度では株式会社に劣ります。
日ごろから経営に関する仕事をしていない人からすると、「合同会社って何?」というイメージを持たれるケースもあるかもしれません。
株式会社のメリット・デメリット
次に多いのが、株式会社です。
誰もが一般的に知っている会社の形態で、信用を得やすいというメリットがあります。ヘルパーさんの求人の際にも、安心して応募してもらえるため、求人面で有利になることもあります。
デメリットとしては、設立に費用がかかることです。
設立費用を重視するか、知名度を重視するかの選択になります。
一般社団法人のメリット・デメリット
そのほかの選択肢として、最近増えているのが一般社団法人です。
一般社団法人という言葉から公益性があるようなイメージがあるため、マーケティング上、利用者が集めやすいというメリットがあるのかもしれません。これが人気の秘密ではないかと思います。
設立要件の基準はそれほど厳しくないため、株式会社・合同会社と同じ感覚で設立できます。
ただし、設立後の事務・経理が株式会社・合同会社と比べて煩雑になることがデメリットになります。
NPO法人の選択が適しているのはこんなとき
NPO法人(特定非営利活動法人)は非営利法人の一種であり、介護事業を行う上で社会的にイメージが良いため、一時人気があって年間5000件ほど増えていました。しかし、ここにきて3000件ほどしか増えていません。
設立費用ゼロにもかかわらず以前ほど増えていないのは、設立までに時間がかかる(6ヵ月程度)ことや、所轄庁の認証、監督、決算関係書類の提出など、わずらわしいからだと思います。
次の場合はNPO法人が適しています。
・ボランティア団体が法人格を取得する場合
・官公庁の事業の受託や指定管理者を目指す場合
・官公庁からの補助金・助成金を受け取る場合