税務会計

【介護事業経営】試算表の見方① 貸借対照表

介護事業を経営するにあたって、会社の数字を把握することは必須です。

会社の数字を理解するため、今回は「試算表」の見方を解説します。

「試算表」とは、期中の月末などに作成し、数字に間違いがないかチェックしたり、期中の時点での会社の財政状況を把握したりするためのものです。
試算表には、「貸借対照表」と「損益計算書」があり、それらの構造や見方を知ることで、会社の状態を読み取ることができ、決算書類のうち財務諸表を理解することができます。

この記事では、試算表のうち、「貸借対照表」の構造と見方を解説します。

貸借対照表とは

貸借対照表とは会社の財政状態を表したもので、会社の資産と負債、そして資産から負債を差し引いた純資産の内容を確認することができます。

資産の部

資産は大きく分けて「流動資産」と「固定資産」に分けることができます。

流動資産は、会社の資産の中で1年以内に現金化や費用化ができるもので「現金」「普通預金」「売掛金」「前払費用」などが含まれます。

固定資産は、会社の資産の中で1年以内に現金化されないもので、「建物」「土地」などの不動産屋、10万円以上の「工具器具備品」などが含まれます。

※売掛金・・・売り上げた代金を後から受け取る場合の未受領の代金等
※前払費用・・・後から費用化されるものをあらかじめ支払った金額(翌月分の家賃の前払い等)

負債の部

負債とは、返済、支払が必要なもののことで、「流動負債」と「固定負債」に分けられます。

流動負債は、1年以内に支払う必要のある負債で、「買掛金」「未払金」「短期借入金」「預り金」などが含まれます。

固定負債は、長期的に返済や支払いを行う負債で、「長期借入金」「長期未払金」などが含まれます。

※買掛金・・・仕入れた代金を後から支払う場合の未払い分の金額等
※預り金・・・預かっている金額。源泉所得税や住民税、社会保険料など給与から天引きし会社が収める場合等。
※長期借入金・・・例として銀行や公庫からの借り入れ等
※長期未払金・・・例としてローンの残債等

純資産の部

純資産とは、会社の全資産から負債を除いた、返済や支払いの必要のない資産のことです。
「資本金」や「利益剰余金」が含まれます。

※資本金・・・株主が出資している金額
※利益剰余金・・・会社がこれまでに積み上げた利益の蓄積

自己資本比率

貸借対照表を見る上で特にチェックしておきたいものとして、「自己資本比率」という指標があります。自己資本比率は、会社の資産のうち、純資産の割合を示します。計算式は以下の通りです。

「自己資本比率(%)」=「純資産」÷「資産合計」×100

一般的にこの自己資本比率が高いほど、経営が安定しており優良な企業であると見られます。30%~50%がひとつの目安とされており、自己資本比率が50%を超えると自己資本比率のかなり高い優良企業といえます。

まとめ

試算表を分析することで、会社の経営状態を把握することができ、正しい経営判断を行う上で大切な根拠となります。

今回は「貸借対照表」について解説しました。ぜひ試算表を分析する際の参考にしてみてください。

このコラムを監修した税理士

田代 健太郎

クロスト税理士法人 代表社員

近畿税理士会所属、登録番号126849号
税理士法人3社での勤務を経て、2015年に「田代健太郎税理士事務所」を設立。その後2018年に法人化し「クロスト税理士法人」に。
財務・税務調査の専門家として、決算申告業務、経営支援業務、独立・開業支援業務、医業福祉業の経営支援業務などの業務を提供。
法人に対する支援業務にとどまらず、生命保険・金融資産の検討・見直し、不動産運用に関するコンサルティング、
また相続申告、相続対策など、個人に対しても幅広い各種サービスを提供している。

書籍:「税務調査の良い受け方・正しい対応方法」、「会社経営者であれば知っておきたい節税のイロハ」、「創業計画書つくり方・活かし方」、ゼッタイ得する会社のつくり方はじめ方」、「相続の税金と対策」、「歯科医院経営の成功手法がわかる本」他。

クロスト税理士法人 https://crosst-tax.jp/

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