介護福祉
自社Webサイトからの「直接応募」を増やす!求人広告に頼らない自社採用オウンドメディアの作り方
介護・障害福祉事業者にとって、採用は経営上の大きな課題です。求人広告、紹介会社、派遣会社、ハローワークなどを活用して人材を探している事業所も多いと思います。
もちろん、これらの採用チャネルは有効です。しかし、求人広告や紹介会社だけに頼り続けると、採用コストが増え続ける一方で、応募数や人材の質が安定しないという問題が起こります。
そこで重要になるのが、自社Webサイトを活用した採用オウンドメディアです。
自社Webサイトは、利用者様やご家族に向けた情報発信だけでなく、求職者に向けて職場の魅力、働き方、教育体制、キャリアパス、経営理念を伝える採用ツールとして活用できます。
目指すべきは、求人広告を見て何となく応募する人ではなく、事業所の考え方や雰囲気を理解したうえで応募してくれる人を増やすことです。
目次
求人広告だけでは差別化しにくい
求人広告は、短期間で応募者を集めたいときには有効です。しかし、多くの求人広告では、給与、勤務時間、勤務地、休日、福利厚生、職種名などが中心になります。
これらはもちろん重要です。しかし、それだけでは職場の本当の魅力は伝わりません。
求職者が複数の求人を比較すると、「明るい職場です」「未経験歓迎」「研修あり」「働きやすい環境です」といった似た表現が並んでいることがあります。これでは、どの事業所が自分に合っているのか判断しにくくなります。
その結果、給与を上げる、広告費を増やす、紹介会社に頼るといった方法に偏りやすくなります。応募は増えても、定着につながらないケースもあります。
自社採用オウンドメディアは、この問題を解決するための土台になります。
採用オウンドメディアとは何か
採用オウンドメディアとは、自社が直接管理する採用向けの情報発信です。
具体的には、自社Webサイトの採用ページ、職員インタビュー、ブログ記事、動画、職場写真、研修制度の紹介、キャリアパス、よくある質問、応募フォームなどが含まれます。
求人広告と違い、掲載スペースや掲載期間に制限されにくく、自社の考え方や職場の雰囲気を継続的に伝えることができます。
たとえば、次のような記事を掲載できます。
・介護職員の1日の流れ
・未経験から入職した職員のインタビュー
・新人研修の内容
・資格取得支援の仕組み
・パートから正社員になった職員の事例
・管理者が大切にしている職場づくり
・残業を減らすための取り組み
・ICTを活用した記録業務の効率化
・利用者様への支援方針
・職員同士の連携やチームの雰囲気
こうした情報があることで、求職者は入職後の働き方をイメージしやすくなります。
良いことだけでなく、実際の働き方を伝える
採用ページでよくある失敗は、見た目はきれいでも内容が抽象的すぎることです。
笑顔の写真や「アットホームな職場です」という言葉だけでは、求職者の不安は解消されません。
大切なのは、職場の良い面だけでなく、実際の仕事内容、入職後につまずきやすい点、どのようにサポートしているかを具体的に伝えることです。
たとえば、「丁寧に研修します」と書くのではなく、入職初日に何を説明するのか、最初の1週間で何を学ぶのか、誰が指導するのか、いつから一人で業務を担当するのかを説明します。
「働きやすい職場です」と書くなら、平均残業時間、シフトの決め方、有給取得のしやすさ、子育てや家庭事情への対応など、具体的な制度や実績を示すと説得力が増します。
具体的な情報は、求職者の安心感につながります。同時に、入職後のミスマッチも減らせます。
キャリアパスと賃金の見通しを示す
介護・障害福祉の仕事を探している方の中には、「この職場で将来どう成長できるのか」を重視する方もいます。
採用ページが単に「介護職員募集」とだけ書かれている場合、入職後の将来像が見えません。
採用オウンドメディアでは、キャリアパスを分かりやすく示しましょう。
たとえば、新人職員、一人で通常業務を担当できる職員、後輩指導を行う中堅職員、チームリーダー、サービス管理責任者・児童発達支援管理責任者・管理者候補など、段階を分けて説明します。
それぞれの段階で求められるスキル、資格、役割、研修内容、評価項目を示すことで、求職者は「ここで働けば成長できそう」と感じやすくなります。
資格手当、役職手当、処遇改善加算を活用した賃金改善、人事評価制度などがある場合は、分かりやすく説明しましょう。
モチベーションは、給与額だけで決まるものではありません。「努力が評価される」「成長が待遇につながる」と感じられることが重要です。
職員インタビューを活用する
採用コンテンツの中でも、特に効果的なのが職員インタビューです。
求職者は、会社の宣伝文句よりも、実際に働いている人の声を信頼しやすいです。
インタビューでは、入職理由、最初に不安だったこと、先輩職員のサポート、仕事のやりがい、職場の雰囲気、どのような人が向いているかを聞くとよいでしょう。
たとえば、次のような質問です。
・なぜこの職場を選びましたか
・入職前に不安だったことはありますか
・入職後、どのようなサポートがありましたか
・仕事でやりがいを感じる瞬間は何ですか
・職員同士の雰囲気はどうですか
・どのような人がこの職場に合うと思いますか
長い文章である必要はありません。飾りすぎない、自然な言葉の方が伝わります。
応募までの導線をシンプルにする
採用ページの内容が良くても、応募しにくいサイトでは直接応募は増えません。
採用ページには、分かりやすい応募ボタン、簡単な問い合わせフォーム、見学希望フォームを設置しましょう。
介護・福祉業界では、いきなり応募するのではなく、「まずは見学したい」「話だけ聞きたい」という求職者も多いです。そのため、正式応募だけでなく、職場見学やカジュアル面談への導線を用意すると応募のハードルが下がります。
最初のフォームで多くの情報を求めすぎないことも大切です。氏名、連絡先、希望職種、簡単なメッセージ程度にしておき、詳しい履歴書や職務経歴は後から依頼する形でも問題ありません。
求職者が「少し聞いてみよう」と思ったときに、すぐ行動できる設計にしましょう。
ブログ記事と採用を連動させる
採用情報は、採用ページだけで完結させる必要はありません。ブログ記事も採用に役立ちます。
たとえば、職員研修、ICT導入、処遇改善加算の活用、残業削減、職場環境改善、サービス品質向上、管理者の考え方などの記事は、求職者にも読まれます。
求職者が複数の記事を読むことで、「この事業所は職員のことを考えている」「現場改善に本気で取り組んでいる」「長く働けそう」と感じる可能性があります。
採用オウンドメディアは、一度作って終わりではありません。継続的に記事やインタビューを追加することで、Webサイト全体が採用資産になります。
数字で効果を確認する
採用オウンドメディアは、作った後の効果測定も重要です。
毎月確認したい数字は、Webサイトのアクセス数、採用ページの閲覧数、応募フォームの閲覧数、直接応募数、見学希望数、面接率、採用率、入職後の定着率です。
採用ページは見られているのに応募が少ない場合、応募導線が分かりにくい可能性があります。応募はあるのに面接につながらない場合、求職者が知りたい情報が不足している可能性があります。採用できても早期退職が多い場合、発信内容と実際の職場にズレがあるかもしれません。
目的は、応募数を増やすことだけではありません。自社に合う人からの応募を増やし、定着につなげることです。
まとめ
介護・障害福祉事業者にとって、自社Webサイトからの直接応募を増やすことは、求人広告や紹介会社への依存を減らし、採用コストを抑える有効な方法です。
ただし、採用ページを作るだけでは不十分です。職員の声、研修制度、キャリアパス、働き方、職場の雰囲気、経営者の考え方を具体的に伝える必要があります。
また、応募フォームや見学導線を分かりやすくし、ブログ記事とも連動させ、毎月の数字で効果を確認することが大切です。
採用は人事だけの問題ではありません。人件費、採用費、サービス品質、職員定着、事業の安定に直結する経営課題です。
当税理士法人では、介護・障害福祉事業者向けに、採用コスト分析、人件費計画、月次業績管理、採用オウンドメディアのコンテンツ設計、職員定着に向けた財務計画を支援しています。求人広告に頼る採用から、自社の魅力で選ばれる採用へ転換していきましょう。
