介護福祉

【訪問介護】訪問介護事業を始めるには? 必要な要件と開業の流れを解説!①

訪問介護事業とは?

訪問介護事業とは、介護を必要とする方の自宅に介護職員が訪れ、日常生活をサポートするサービスを提供する事業です。このサービスの目的は、要介護者や要支援者が住み慣れた環境で、できる限り自立した生活を送れるよう支援することにあります。


サービス内容

訪問介護サービスは、大きく以下の3つのカテゴリに分かれます。

身体介護

介護職員が利用者の身体に直接触れて提供するケアのことを指します。主な内容は以下の通りです。

  • 食事の介助
  • 入浴のサポート
  • 排泄の補助
  • ベッドや車いすへの移乗
  • 体位の変換
  • 衣服の着脱介助
  • 口腔ケア

生活援助

日常生活の維持をサポートするためのサービスで、次のような支援が含まれます。

  • 食事の準備(調理・配膳)
  • 部屋の掃除・洗濯・ゴミ出し
  • 買い物代行
  • 衣類の補修
  • 居住空間の整理整頓

通院時の移動サポート

通称「介護タクシー」と呼ばれるサービスで、通院や外出時の乗車・降車を支援します。ただし、移動にかかる費用(運賃)は介護保険の対象外となります。


利用対象者

訪問介護サービスは、介護保険制度のもとで提供されており、主に以下の方が利用できます。

  • 要介護1以上の認定を受けた方
  • 要支援1または2の認定を受けた方(一部制限あり)

訪問介護の需要と市場動向

需要の増加

訪問介護のニーズは年々高まっています。特に、以下の要因が大きな影響を与えています。

  1. 高齢者人口の増加
  2. 要介護者数の増加
  3. 在宅介護の推進政策

厚生労働省の統計によれば、訪問介護の年間実受給者数は2018年度から2021年度の間に7万人以上増加しました。この傾向は今後も継続すると見られています。

事業所数の推移

訪問介護事業所は年々増加傾向にあり、2024年4月時点では全国に35,468件存在しています。これは前年同期比1.2%増(418件増)にあたります。この増加の背景には、次のような要因が挙げられます。

  1. 高齢者数・要介護者数の増加に伴う需要の拡大
  2. サービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームに併設する形での新規開設

訪問介護市場の課題

訪問介護の需要が拡大する一方で、業界としてはいくつかの深刻な課題にも直面しています。

人材不足

最も大きな問題の一つが人材不足です。ホームヘルパーの有効求人倍率は15倍を超えており、必要な人員を確保するのが非常に難しい状況となっています。

事業所の経営難

人手不足や経営環境の悪化により、休廃業や倒産する事業所が増加傾向にあります。2024年度上半期(4〜9月)には、介護事業者の倒産件数が95件(前年同期比66.6%増)となり、過去最多を記録しました。そのうち訪問介護事業所の倒産は46件(前年同期比35.2%増)と最も多くなっています。

サービスの質の低下

事業所数は増えているものの、1事業所あたりのスタッフ数は減少傾向にあり、サービスの提供能力や運営の安定性が低下する懸念があります。


今後の展望

訪問介護の需要は今後も増え続けると予測されます。しかし、質の高いサービスを維持しながら人材を確保することが、業界全体の重要な課題となっています。地域包括ケアシステムの推進とともに、訪問介護はますます重要な役割を果たすことが期待されており、働きやすい環境づくりが急務となっています。


訪問介護事業を成功させるためのポイント

スタッフの質を向上させる

優れた人材の確保と定着

訪問介護の質は、スタッフのスキルやモチベーションによって大きく左右されます。優秀な人材を確保し、長期的に活躍してもらうためには、以下の点を重視する必要があります。

  • 定期的な研修の実施によるスキル向上
  • スタッフ間の円滑なコミュニケーションの促進
  • 労働環境の整備
  • キャリアパスの明確化

研修と教育の充実

サービスの質を高めるためには、継続的な教育や研修が不可欠です。以下のような研修を計画的に実施することが求められます。

  • 認知症ケアに関する研修
  • 個人情報保護に関する講習
  • 接遇マナー研修
  • 倫理や法令順守に関する教育

研修プログラムの整備

年間研修計画の策定

訪問介護事業者は、法令に基づき職員の資質向上のための研修機会を確保する義務があります。年間で10回程度の研修を計画し、月1回の頻度で実施するのが理想的です。

個別研修計画の策定

特定事業所加算の取得を目指す場合、個別研修計画の策定が求められます。これにより、職員ごとの専門性を強化し、質の高いサービス提供を実現できます。


スタッフのモチベーション向上と定着

スキルアップの実感を促す

従業員が自身の成長を実感できる環境を整えることは、モチベーションの向上につながります。これにより、離職率の低減にも効果を発揮します。

学習機会の多様化

通常業務とは異なる形で学習機会を提供することで、仕事のマンネリ化を防ぎ、職員の意欲を高めることができます。


まとめ

訪問介護事業は、今後ますます需要が高まる一方で、人材不足や経営環境の厳しさが課題となっています。事業を成功させるためには、質の高いサービス提供、人材の確保と教育、職員のモチベーション維持が不可欠です。これらを実現することで、訪問介護事業の持続可能な発展が可能となるでしょう。

クロスト税理士法人では、介護福祉事業の開業に関して、初期相談から、事業計画作成、融資サポート、法人設立、指定申請代行、各役所への届け出の提出とまとめてご相談可能となっております。また、初回無料相談可能となっておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

このコラムを監修した税理士

田代 健太郎

クロスト税理士法人 代表社員

近畿税理士会所属、登録番号126849号
税理士法人3社での勤務を経て、2015年に「田代健太郎税理士事務所」を設立。その後2018年に法人化し「クロスト税理士法人」に。
財務・税務調査の専門家として、決算申告業務、経営支援業務、独立・開業支援業務、医業福祉業の経営支援業務などの業務を提供。
法人に対する支援業務にとどまらず、生命保険・金融資産の検討・見直し、不動産運用に関するコンサルティング、
また相続申告、相続対策など、個人に対しても幅広い各種サービスを提供している。

書籍:「税務調査の良い受け方・正しい対応方法」、「会社経営者であれば知っておきたい節税のイロハ」、「創業計画書つくり方・活かし方」、ゼッタイ得する会社のつくり方はじめ方」、「相続の税金と対策」、「歯科医院経営の成功手法がわかる本」他。

クロスト税理士法人 https://crosst-tax.jp/

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