介護福祉
【介護事業全般】会社を設立するなら株式会社?合同会社?
目次
介護福祉の法人の形態
介護福祉事業を開始するにあたって、法人の設立は必須です。
法人の形態はさまざまで、主な形態としては下記の種類があります。
- 株式会社
- 合同会社
- 一般社団法人
- NPO法人
株式会社とは?
株式会社は、株主が所有する株式を基盤として設立される会社形態です。
主に以下の特徴があります。
株式を発行
株式会社は、会社の資本を株主に対して分割し、株式を発行します。株主は株式を購入することにより、会社の一部の所有権を得ます。
株主の責任
株主の責任は通常、出資した株式の金額に限られます。株主は、会社の借金や責任に対してその株式の額面金額や購入価格までしか責任を負いません。
取締役会と経営
株式会社は、取締役会によって経営されます。取締役会は、会社の運営と意思決定を行い、株主の代表として会社を運営します。
法的な主体性
株式会社は、法的に独立した主体であり、個々の株主とは別個の法的存在です。そのため、株主が変わっても会社そのものが存続します。
合同会社とは?
合同会社は、株式会社とは異なり、出資者が株主ではなく、社員として参加することが特徴です。主に以下の特徴があります。
出資者と社員
合同会社は、出資者が株主ではなく「社員」として参加します。出資者が出資した金額に応じて損失を分担するという株式会社とは異なり、社員は労働力として企業に参加します。
責任の範囲
合同会社の社員は、自らの勤務に関連して生じた債務について、自己の出資額を限度として責任を負います。他の社員の債務には責任を負いません。
役員の任命
合同会社は、代表社員を置くことができますが、取締役会は必須ではありません。役員の任命には制限がありません。
会社の組織
合同会社は株式会社よりも柔軟な組織形態を持ちます。内部組織や規模についての制約が緩やかであるため、中小企業やスタートアップ企業に向いています。
一般社団法人とは?
一般社団法人は、以下のような特徴があります。
非営利性
一般社団法人は営利を目的とする組織ではなく、特定の公益的な目的を追求する非営利団体です。その目的は、教育、文化、環境保護、社会福祉、スポーツ振興など、さまざまな分野にわたることがあります。
公益性
一般社団法人の活動は、一般社会の利益や公益に寄与することを主眼としています。そのため、税制面や公的な支援措置などが特典として提供されることがあります。
会員制度
一般社団法人は、会員制度を持つことが一般的です。会員は組織の運営に参加し、一般社団法人の活動に貢献します。
責任範囲
一般社団法人の会員や役員は、自らの出資に応じて損失を負う株式会社とは異なり、出資額に限定される範囲での責任を負います。
一般社団法人は、社会的な課題に対して寄与するために設立される場合が多く、さまざまな公益団体や文化団体、スポーツ団体、学術団体などがこの形態を選択しています。設立には一定の手続きや条件がありますが、一般社団法人の活動が社会に良い影響をもたらす場合には、公的なサポートや認知を受けることができることが魅力です。
NPO法人とは?
NPO法人は、非営利の社会福祉活動を目的とする法人です。NPO法人の主な特徴を説明します:
非営利性
NPO法人は、営利を目的とせず、公益的な活動を行うことを目的とします。そのため、収益を会員や役員の個人的な利益のために使用することはありません。
社会福祉活動
NPO法人の主な目的は、社会的な課題の解決や社会福祉の向上に貢献することです。例としては、災害支援、環境保護、福祉施設の運営、教育支援、文化活動などがあります。
会員制度
一般的に、NPO法人は会員制度を持ちます。会員は団体の運営に参加し、活動に寄与します。
責任範囲
NPO法人の会員や役員は、自らの出資に応じて損失を負う株式会社とは異なり、出資額に限定される範囲での責任を負います。
NPO法人は、一般社団法人と異なり、社会福祉活動を主な目的としている点が特徴です。NPO法人も一定の手続きと条件を満たす必要があり、さまざまな社会的課題に対して活動しています。NPO法人は、政府や地方自治体などからの補助金や支援を受けることがあるほか、寄付や寄付金を受け取ることで資金を調達する場合もあります。
介護福祉事業を開業する上でおすすめの法人形態
まず、5つの法人形態について比較した、下の表を見てください。
株式会社 | 合同会社 | 一般社団法人 | 一般財団法人 | NPO法人 | |
設立手続 | 設立登記のみ | 設立登記のみ | 設立登記のみ | 設立登記のみ | 所轄庁の認証後、設立登記 |
設立時に必要な資産 | 1円以上 | 1円以上 | 不要 | 300万円以上 | 不要 |
設立時に必要な人員 | 1人以上 | 1人以上 | 2人以上 | 7人以上 | 10人以上 |
理事の数 | 該当なし | 該当なし | 1人以上(非営利型は3人以上) | 3人以上 | 3人以上 |
所轄庁 | なし | なし | なし | なし | 都道府県又は指定都市 |
上の法人形態のうち、今人気がありオススメなのが、合同会社と一般社団法人です。
以前、人気のあったNPO法人(特定非営利活動法人)は、設立までに時間がかかる(半年程度)ことや、所轄庁の認証、監督、決算関係書類の提出などから、今では以前ほど人気がなくなりました。
株式会社は、有名な大会社と同じ法人形態ですし、合同会社や一般社団法人に比べて、馴染みのある法人形態です。
この点を重視して、株式会社を選択される方もおられます。
株式会社のデメリットの一つとして、設立時の費用が20万円(公証人の認証手数料や登録免許税。ただし、電子定款にしなければ、別途印紙代4万円が必要。)と合同会社の設立時の費用約6万円と比べて高い点です。