介護福祉

【デイサービス】開業時の課題と初期費用

起業家の悩み事

事業を創業するとき、創業前においての課題や悩みごとにはこのような事があります。

  1. どのように事業計画を立てるのか
  2. 開業に必要な資金をどのように調達するのか
  3. 開業の具体的な手続きはどうするのか

そして創業した直後においては、販路開拓や資金繰りといった事業を軌道に乗せ事業を継続させるための取り組みが課題です。

事業が軌道に乗って成長期に入りますと、従業員の採用や事業拡大に向けた悩みごとが生じます。

開業時の課題や悩みごとについて

日本政策金融公庫総合研究所による『2020年度新規開業実態調査』によりますと

開業時に苦労したこと

  1. 「資金繰り、資金調達」(55.0%)
  2. 「顧客・販路の開拓」(46.8%)
  3. 「財務・税務・法務に関する知識の不足」(34.4%)

現在苦労していること

  1. 「顧客・販路の開拓」(47.3%)、
  2. 「財務・税務・法務に関する知識の不足」(32.4%)
  3. 「資金繰り、資金調達」(30.8%)

上記の内容を挙げる企業の割合が高いようです。

デイサービスを開業する際の初期費用

開業時に苦労することとして最も回答の多かった資金面ですが、具体的にどのくらいの初期費用がかかるのか、デイサービスを例に解説します。

デイサービスを開業する際の初期費用は、

  • どのくらいの規模で運営するのか?
  • 地域ごとに異なる物価などの相場
  • 選んだ物件の状況
  • 設備や備品は新品で購入するのか?
  • リースにするのか?

などで、大きく差が出ます。

ここでは一般的なケースとして、【10名~15名程度の比較的小規模なデイサービス】を前提に見ていきます。

開業にあたって主にかかる費用と一般的な相場

まず、法人設立費として8万円~30万円ほど、物件を借りる保証金や、手数料が物件によって20万円~100万円ほど必要です。

重要となるのが、デイサービスを開業するにあたって設備基準をクリアするための改修工事費です。

改修工事費は150万円~500万円ほどが見込まれますが、物件の状態によっても異なります。

たとえば、居抜き物件のようにもともと介護施設であったような場合や、保育所など類似した物件であると、改修費をおさえることが可能です。

また、改修が必要な場合でも、工夫をすることで費用削減が可能になる場合もあります。

 物件を選ぶ際には、以下のような点に気を付けましょう。

水回り

一から設置しなければならない場合は、初期投資がかなり高額になる場合があります。水回り、排水などが整備されていることは大きなポイントです。

厨房

デイサービスのコンセプトとして、”食事を充実させる”のも一つの方法ではありますが、厨房設備にこだわってお金をかけすぎると毎月の返済や運営費の負担が大きくなります。

人件費

特に、20名以下の小規模のデイサービスの場合は、調理要員の人件費は重くのしかかってきます。食事の提供

経営のシミュレーションをする段階で、食事をどう提供していくかを考えて物件を選ぶことが必要です。

独自で食事を提供する以外にも

  • 食事のアウトソーシング
  • 高齢者の配食業者を利用する
  • 地域の弁当屋と連携する

など様々な選択肢がありますので、広い視点で検討してみましょう。

消防設備の設置

”消防法の改正”により、宿泊を提供するデイサービス等の施設でも、スプリンクラーや自動火災報知設備など、消防設備の設置が厳しく求められるようになりました。

自分で、全て設置するとなると多額の費用がかかるうえ、消防署の許可がおりないためにデイサービスが開設できず、開業を延期しなければならないことがあります。

物件選びにあたっては、消防法の確認がとれているかを契約前に確認しておくことが必要です。

※余談になりますが、スプリンクラーなどの消防設備は借りる物件だけでなく、物件1棟の全ての部屋に消防設備が求められますので、ご注意ください。

その他

上記の他に、設備費としてテレビやパソコン、机や椅子、冷蔵庫などの購入に80万円ほどかかります。

送迎用の車両の準備も必要です。7~8人乗れるワンボックスカーの購入費として300万円程度、質の良い中古車なら100万円~150万円程度に抑えることもできます。

人材募集のための求人広告費や、研修費として30万円~50万円が見込まれますが、無料のハローワークなどを活用することで、抑えることは可能です。

初期費用まとめ

上記に挙げたもの以外に、賃料や人件費、リハビリ機器のリース料など、月々必要となる当面の運営資金も含めて、少なくとも800万円程度は見ておきたいところです。

<初期投資が必要な費用例>

・法人設立費       8~30万円程度

・物件取得費用    20~100万円程度

・改修工事費       150~500万円程度

・設備費              80万円程度

・車両費              100~300万円程度

・人材獲得費用    30~50万円程度

・当面の運転資金

 (3か月分)    360万円程度

上記はあくまでも一例です。

最後に

開業する地域や規模、選ぶ物件の状態、また、サービスのコンセプトによっても必要な費用は大きく異なりますので、開業にあたってはしっかりと【事業計画】と【資金計画】を立てましょう。

このコラムを監修した税理士

田代 健太郎

クロスト税理士法人 代表社員

近畿税理士会所属、登録番号126849号
税理士法人3社での勤務を経て、2015年に「田代健太郎税理士事務所」を設立。その後2018年に法人化し「クロスト税理士法人」に。
財務・税務調査の専門家として、決算申告業務、経営支援業務、独立・開業支援業務、医業福祉業の経営支援業務などの業務を提供。
法人に対する支援業務にとどまらず、生命保険・金融資産の検討・見直し、不動産運用に関するコンサルティング、
また相続申告、相続対策など、個人に対しても幅広い各種サービスを提供している。

書籍:「税務調査の良い受け方・正しい対応方法」、「会社経営者であれば知っておきたい節税のイロハ」、「創業計画書つくり方・活かし方」、ゼッタイ得する会社のつくり方はじめ方」、「相続の税金と対策」、「歯科医院経営の成功手法がわかる本」他。

クロスト税理士法人 https://crosst-tax.jp/

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