介護福祉

【訪問看護】訪問看護事業を開業するには? 必要な手続き・要件・資金計画を徹底解説!

はじめに

訪問看護事業とは

訪問看護事業とは、看護師や保健師、理学療法士などの医療専門職が患者の自宅を訪問し、医療的ケアや日常生活のサポートを提供するサービスです。
このサービスの目的は、病気や障害を抱える方が住み慣れた環境で安心して療養生活を送れるよう支援することにあります。

提供されるサービスの例としては、次のようなものが挙げられます:

  • 病状の観察と健康管理
  • 医療処置(点滴、褥瘡ケア、カテーテル管理など)
  • 服薬の管理・指導
  • リハビリテーションの実施
  • 日常生活の援助
  • 介護者への支援や指導

訪問看護は、医療保険制度および介護保険制度の両方が適用される仕組みになっており、患者の状態や年齢によって適切な制度が選ばれることになります。


在宅医療ニーズの増加と訪問看護事業の役割

近年、在宅医療の需要が急速に高まっています。その背景には、以下のような要因が影響しています。

  1. 高齢化社会の進行
  2. 生活習慣病など慢性疾患患者の増加
  3. 医療技術の進歩に伴う在宅医療の高度化
  4. 患者の生活の質(QOL)を重視する傾向の広がり

こうした状況のなかで、訪問看護事業は次のような重要な役割を担っています:

  • 医療と生活の架け橋:病院と自宅をつなぎ、継続的な医療ケアを支援
  • 多職種連携の中心的役割:医師、薬剤師、ケアマネージャーなどと協力し、包括的なケア体制を構築
  • 重症化予防:定期訪問により症状変化を早期発見し、重症化を未然に防止
  • 介護者の負担軽減:介護を担う家族に対し、介護スキルの指導や精神的サポートを実施。

高齢化社会における訪問看護事業の重要性

日本では高齢化が急速に進行しており、2021年には高齢化率が28.9%に到達しています。このような社会的背景のなかで、訪問看護事業の果たす役割はますます大きくなっています。

訪問看護事業が担う社会的意義は、次のように整理できます:

🔹 1. 医療費の削減

在宅での医療・看護ケアを適切に提供することで、入院期間の短縮や再入院の予防につながり、医療費の抑制に貢献します。

🔹 2. 地域包括ケアシステムの推進

高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるよう支援する地域包括ケアシステムにおいて、訪問看護は重要な役割を担います。

🔹 3. 認知症ケアの充実

認知症患者の増加に伴い、在宅での介護ニーズが高まっています。訪問看護では、認知症ケアの専門的知識をもつ看護師が患者本人とその家族に適切なアドバイスを提供します。

🔹 4. 自宅での看取りケア

「自宅で最期を迎えたい」という希望を持つ高齢者が増えている現状を踏まえ、訪問看護による在宅での終末期ケアの提供が求められています。

🔹 5. 家族の介護負担軽減

家族介護者への介護指導や精神的な支援を行うことで、介護疲れや離職を防止し、家族全体の生活をサポートします。


訪問看護事業を開業するための必須要件

訪問看護事業を開業するためには、法律上定められた要件を満たす必要があります。ここでは、主なポイントを4つに分けてご説明します。


1️⃣ 許認可の取得(指定訪問看護ステーション)

訪問看護サービスを提供するには、都道府県知事の指定訪問看護事業者の指定を受ける必要があります。

許認可を取得することで、介護保険法に基づいた訪問看護サービスを提供可能となり、訪問看護報酬の請求が可能になります。


2️⃣ 法人設立

訪問看護事業は法人格が必須となります。個人事業としての開業は認められていません。

法人形態には次のような選択肢があります:

  • 株式会社:出資者と経営者が分離され、出資比率に応じて利益を分配。
  • 合同会社:出資者自らが経営を行い、利益配分は自由に設定可能。
  • 医療法人:医療機関が母体となり、訪問看護事業を展開するケースが多い。

設立の際には、定款に「訪問看護事業」と明記することが重要です。


3️⃣ 人員基準の充足

厚生労働省の基準に基づき、訪問看護ステーションには次の人材を確保する必要があります:

  • 管理者(1名):保健師または看護師で、常勤配置が原則。
  • 看護職員(常勤換算2.5名以上):看護師・准看護師・保健師が対象。
  • リハビリ職員:理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の配置は任意。

👉常勤換算とは?
非常勤職員の勤務時間を合計して常勤職員数に換算する方法です。例えば、週10時間勤務の非常勤職員は常勤換算で0.25人として計算されます。


4️⃣ 事業所の設備と運営体制

訪問看護ステーションには、以下の設備や体制が必要です:

  • 情報管理設備:利用者の個人情報や看護記録を適切に保管する設備。
  • 感染症対策用品:手指消毒液・防護具など、感染予防に必要な物品の準備。
  • 24時間対応体制:緊急時に対応できるオンコール体制の整備

また、職員向けに運営マニュアルや業務手順書を整備し、誰が業務を行っても一定のサービス品質を維持できるようにすることが重要です。


訪問看護事業開業までのステップ

訪問看護事業の開業には、次のようなステップを踏む必要があります:

  1. 事業計画の策定:提供サービスの内容・ターゲット層・収支計画を作成。
  2. 法人設立:法務局で登記手続きを実施。
  3. 事業所の確保と整備:訪問看護専用の事業所を用意し、設備を整える。
  4. 人材の採用・研修:管理者・看護職員・事務員を確保し、初期研修を実施。
  5. 許認可申請:各自治体に訪問看護事業者としての指定申請を提出。
  6. 運営準備:訪問スケジュール管理システムや記録用ソフトの導入。
  7. 営業活動・開業:医療機関・ケアマネージャーへのあいさつ回りと初回訪問の実施。

訪問看護事業に必要な資金と収支計画のポイント

訪問看護事業を開業するには、初期投資として500〜1,000万円程度の資金が必要となります。内訳は以下の通りです:

  • 法人設立費用:25〜50万円(登録免許税・定款認証費用含む)
  • 事業所の賃貸契約費:150〜400万円(敷金・礼金・内装費含む)
  • 医療機器・備品費用:100〜200万円(血圧計・パルスオキシメーターなど)
  • 人件費(開業準備期間中):100〜150万円
  • システム導入費用:20〜50万円(電子カルテ・記録管理システム)

📝資金管理のポイント:

  • 介護報酬の支払いは2ヶ月後の入金になるため、当面の資金繰り計画を念入りに行う。
  • 人件費・機器購入費など、固定費を把握し、無駄な支出を削減する体制を構築する。

訪問看護事業を成功させるためのポイント

訪問看護事業を軌道に乗せるためには、以下のポイントを押さえることが重要です:

  • スタッフの教育・育成:定期的な研修とフィードバックでスキルアップを支援。
  • 地域との連携強化:医師会・医療機関・地域包括支援センターとのネットワークを構築。
  • 業務の効率化:介護ソフトや訪問記録アプリの導入で、現場業務を効率化。
  • マーケティング戦略の立案:地域に特化したPR活動や説明会を開催し、サービスの認知度を高める。

最後に

クロスト税理士法人では、介護福祉事業の開業に関して、初期相談から、事業計画作成、融資サポート、法人設立、指定申請代行、各役所への届け出の提出とまとめてご相談可能となっております。また、初回無料相談可能となっておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

このコラムを監修した税理士

田代 健太郎

クロスト税理士法人 代表社員

近畿税理士会所属、登録番号126849号
税理士法人3社での勤務を経て、2015年に「田代健太郎税理士事務所」を設立。その後2018年に法人化し「クロスト税理士法人」に。
財務・税務調査の専門家として、決算申告業務、経営支援業務、独立・開業支援業務、医業福祉業の経営支援業務などの業務を提供。
法人に対する支援業務にとどまらず、生命保険・金融資産の検討・見直し、不動産運用に関するコンサルティング、
また相続申告、相続対策など、個人に対しても幅広い各種サービスを提供している。

書籍:「税務調査の良い受け方・正しい対応方法」、「会社経営者であれば知っておきたい節税のイロハ」、「創業計画書つくり方・活かし方」、ゼッタイ得する会社のつくり方はじめ方」、「相続の税金と対策」、「歯科医院経営の成功手法がわかる本」他。

クロスト税理士法人 https://crosst-tax.jp/

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